今回は、海外の日本語学習事情の一端についてお話ししたいと思います。
タイトルの「キミ、僕の日本語N2と思う?」は、海外での日本留学フェアで相談にやってきた初対面の女性に聞かれた質問です。本人はとてもまじめな表情で質問しているのですが、こちらはなんとも居心地の悪い、「言いたいことはわかるけど……私はあなたの友達ではないし、初対面だし……あぁ、いろいろ違う」という気持ちになりました。他にも、「来年、日本に留学したいんだ。いつから学校で勉強できるんだ?」という、「ちびまる子ちゃん」に登場する花輪くんを思い出させる話し方をする学習者にも出会いました。「どこで日本語を勉強しましたか?」と尋ねると、「自分で。アニメ見て」とのこと。つまり、アニメや漫画などを通じて「独学」で日本語を学んできたわけです。
こうした学習者は、3年に一度発表される国際交流基金の海外日本語教育機関調査には含まれず、海外の日本語学習者数にも反映されません。そのため、数の把握が難しいのですが、香港日本語教育研究会の『日本學刊 第21号』によると、2017年6月に香港で実施されたJLPTのN3からN5の応募者の内、調査に協力した592名の中で、実に39.24%に当たる259名が独学の学習者でした。因みに機関に所属する学習者が53.34%(352名)、個人授業が6.52%(43名)、通信教育が0.91%(6名)でした。
それだけ多くの人が独学で日本語を学んでいるわけですが、そうした学習者の努力をより洗練されたものにするためには、「日本語教師の出番だ!」と感じた出会いでした。